このコラムは、インドで気空術を指導していた日並さんが、インドの生徒用に作成した冊子を日本語に訳したものです。
はじめて気空術を学ぶ人にとっては、とてもわかりやすい解説書になると思いますので、本人の了承のもと掲載します。
気空術の基本
これは、日本の武道に自らの人生を捧げている外国の方へのプレゼントです。
気空術とは
その1
気空術は、空手家・畑村洋和が創始した武術です。
合気道とは異なる「合気の技」をベースにしています。
気空術の創始者である畑村先生は、力に頼らない「究極の技」を追求してきました。
その結果、「二方向」「二触法」などの技を発見しています。
創始者の畑村先生は「武道家だけでなく、一般の人たちにも気空術を実践してもらい、人生をより良いものにしてほしい」と語っています。
畑村先生はすでに気空術について2冊の本を執筆しています。
本には、日本語で親切に気空術を学ぶ方法が書かれていますが、先生の技は非常に特殊で、読むのは簡単だが、実践するのはとても難しいです。
ですから、気空術を学ぶ最善の方法は、日本で創始者から直接学ぶことです。
しかし、外国人が直接先生から学ぶのはとても難しいことです。
そこで、私は創始者から直接気空術を学び、指導者としての免許も持っている人間なので、その学び方を書くことにしました。
その2
まず、読者の皆さんに私自身のことを説明しなければならないと思います。
そうすれば、なぜ私が皆さんに気空術を教えるにふさわしい人間なのかが明らかになるでしょう。
では、私が気空術と出会った経緯をお話ししましょう。
私は皆さんと同じように日本の武道が大好きです。
ですので、柔道、剣道、日本拳法、戸山流居合道、スポーツチャンバラなど、たくさんの武道を学び、たくさんの黒帯を取得し、皆さんのように日本の武道を極めるために人生を捧げてきました。
私は年齢を重ねるにつれ、スピードとパワーの衰えを感じるようになりました。
そこで、パワーがなくても強くなれる別の方法を探すことにした。
そこで、本屋で畑村先生が気空術について書かれた2冊の本を見つけました。
謎の空手・気空術
続謎の空手・気空術
2冊の本の内容は素晴らしく、私が探し求めていたことが書かれていました。
ですので、すぐに購入して熱心に読みました。
しかし、私は気空術を信じることができませんでした。
そこで先生の道場に行くことにしました。
幸い、私には畑村先生の弟子に友人(現在の藤原伸一拳友会会長)がいましたので、彼にお願いして私が先生に会えるように手配してもらいました。
それで私は道場に行き、直接気空術を見たのです。
初めて気空術を見たとき、先生が何をするのか理解できませんでした。
先生の弟子たちは、先生に触られただけで簡単に地面に倒れてしまうのです。
先生はすべての技を笑顔でこなし、「敵を倒すという気持ちを捨てるべきだ 」と言っていました。
私は弟子になることを決めたのです。
合気モード
「合気モード 」というものがあります。
究極の精神状態です。
この状態になれば、すべての行動が技になると言われています
私が初めてそれを体験したのは、先生の道場に来て2日目のことでした。
先生が弟子たちに「合気モード」のあり方を説明している最中に、話を聞いている私がいきなりこの状態になったのです。
誰かに勝つという感覚はありません。
あるのは宇宙と一体化するような感覚だけです。
しかも、私が触った弟子たちは皆、簡単に地面に倒れていきます。信じられません。
わかりやすく言えば、悟りと同じかもしれません。
しかし、私は「合気モード」を維持することができず、また意図的にこのモードになることもできませんでした。
気空術の極意
ある日、師範代の畑村吉彦さん(現宗家)から、先生は簡単に合気モードに切り替えることができると聞きました。
そして、気空術の技はすべて、合気モードのときの動きを考えてつくられたものということも教えてもらいました。
これは気空術の極意なのですが、
究極の技は 「合気モード 」である。しかし、それを身につけるには、悟りを開くように長い時間がかかる。
だから、合気モードになるような体の動かし方を学ばなければならない。
それ以来、私は気空術の稽古に励み、いかにして通常モードから合気モードに変えるかを常に考えてきました。
ありとあらゆることを試しました。ほとんどのアイデアはうまくいきませんでしたが、少しずつ気空術の原理を学ぶことができました。
気空術を学ぼう
「合気モード」に加えて、先生がよくおっしゃる有名な言葉があります。
それは「腕を道具として使え 」というものです。
私は弟子になって3年目に、腕を道具として使う方法を見つけました。
すると、すべての技が完全に上達しました。
上達した理由は、「腕の道具化」は、意志を意図的にコントロールするための第一歩だったからです。
弟子入りして5年。先生から多くのことを学び、先生は私に指導員として気空術を教えることを許してくれました。
今はインドのチェンナイでインドの方に気空術を教えています。
ここに来る前、私は先生に「インドのあなたの道場で学んだ技術を教えたいのですが、先生の名前を汚したくないので、気空術の名前は使いません」と言いました。
しかし、先生は「そんなに心配することはない。自分の技を気空術として教えるべきだ。」と言われました。
だから、私は今、チェンナイで気空術を教えています。
これで私の話は終わりです。私の生い立ちはお分かりいただけたと思いますので、気空術の稽古をしましょう!